ワッセナー合意とは、労働側が賃金抑制を受け入れ、経営側が時短維持を受け入れ、政府側が減税を受け入れるという三方一両損の合意だった。その後1993年には、パートタイム労働でもフルタイム労働でも同じ仕事であれば時間当たり賃金を同じにすることが法律で定められ、年次有給休暇も時間比例で与えることや、年金や社会保険もパートタイムでも強制加入させることが制度化されて、完成した。しかし、これが日本の現状にそのままあてはまるわけではないのだ。
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オランダの場合、前提として女性の就業率の低さがあった。その女性たちが労働者になるためには、生活とバランスが取りやすい短時間労働の場が必要だったのである。パートタイム労働の場が整備されることで、男性がこれまでの7割から8割程度の労働時間と賃金で働き、女性も同じような働き方をする夫婦共働きをすれば、結果として従来の収入に対して夫婦で1・5の収入を得ることになる。これが「1・5モデル」と呼ばれるオランダの特徴的な要素であり、このようにして得た世帯所得を政府は減税をもって支援したのである。女性の就業率が上がり、労働投入量が増えたのだから、社会全体として生産性を上げる変革だったといえるだろう。