倒産の事後処理に忙殺

2011.12.31

Wさんの勤めるソフトハウスが突如破綻宣告したのは、この秋のことである。Wさんにとっては、まさに寝耳に水。事前予告も予兆もなく、あまりにも唐突な破産劇だった。原因は、バブル時期の不動産投資がこげつき、資金繰りが悪化したかららしいが、そんなことはWさんにとってはどうでもいい。「会社がなくなる」という事実だけが、目前に迫ってきた。「早いところ会社を抜けて、次の会社を見つけよう」こういう声も社内にはあった。

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しかし責任感が人一倍強いWさん、自分の顧客に迷惑をかけるわけにもいかず、とにかくお詫びの日々を送ることにした。何と言ってもWさんはこれまで「将来の幹部候補生」と目されていたのである。「会社の後始末は自分がつけなくては……」という悲壮な使命感のようなものがあったのも、事実だった。それから1ヵ月。会社の同僚が次々と新天地を見つけていくのを横目に、Wさんは倒産の事後処理に忙殺されていた。途中何度も「こんなことしてでも、何の益もない。さっさとおさらばして、自分も就職活動しないと、エラいことになる……」と挫けそうになったが、「君の誠意には頭が下がる。ともに何とか切り抜けよう」と励ます上司の顔を見るにつけ、やはり自分がやらねば、と踏ん張るWさんだった。





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